ターゲット市場はデータを集める

ここはどこ?私は誰?

仕事をするあなたは、1つの“会

社”に所属すると同時に、そ

の“業界”で働く人でもありま

す。

例えば、自動車メーカーの社員になれば、同時に自動車産業で働く人でも

あるということです。

もっと正確に言えば、あなたが活躍するのは自動車産業ではなく自動車

マーケットです。

業界というと、多分に、主要企業の集合体をイメージして、マーケットが

業界売上の母体であることを見過ごしやすいからです。

マクロにマーケットを眺める

あくまでも、仕事も会社もマーケットの上に成り立っています。

収入は会社を通じてマーケットから入ってきて、製品は会社を通じてマー

ケットに送り込まれます。

転職するとき、その企業を取り巻く大きなマーケット世界を視野に入れる

と、その企業や自分の位置づけが明確になります。

どのような世界で仕事をするのか。

ここが転職への入り口です。

大きな市場か小さな市場か

初めに、市場規模を把握しましょう。

業界に名を連ねる企業の年商の総合計が、市場規模として表現されること

があります。

推定市場規模や業界総売上などが、一般的に市場規模を示します。

しかし、推定市場規模と業界総売上の間に大きな差があることもありま

す。なぜかについては、ここでは省きます。

どちらを選択しても構いません。

市場規模の手掛かりとなる数字がつかめればそれで結構です。

数字がない場合もある

ただ、ベンチャーや新興企業が多い分野では市場規模に関するデータが

得られない場合もあります。

この場合は、断片的なデータから推計するほかありません。

要するに、市場規模1000億円とか、1兆円といったふうに把握できれば、

自分の世界の大きさや小ささが実感できます。

市場内のポジション

次に、市場内の自社の相対的な位置づけを確認します。

売上順位からみて、業界何位にあるか、上位・中位・下位のどこに入って

いるか、市場占有率(シェア率)はナンパーセントか。

興味があれば、上位企業の利益、従業員数、社歴、資本金なども見て、比

較してください。

マーケット全体の姿から、業界各社の業績へと内容が縛られると、自分の

立ち位置も、より明確になります。

市場の成長性

さらに今度は、業界と自社の成長性をみて、将来性を考えてみます。

市場は成長しているか、横ばいか、衰退か。

そして、自社は成長しているか、横ばいか、衰退か。

これらを比較して、おおまかな将来性を考えてみましょう。

問題は、市場規模が拡大しているのに、業績が横這いや低迷している企業

がある場合です。

経営上の問題があるのかもしれません。

M&A

最後に吸収・合併の多い業界か、そうでもないのかを調べてみましょう。

M&A(企業の吸収・合併)は、どの業界でも今や珍しくありませんが、

それでも業界によってM&Aの頻度が違います。

この頻度を比べて、転職後の会社がM&Aに巻き込まれる可能性も想定し

たほうが良いでしょう。

全ての場合ではありませんが、M&Aはリストラを伴うことが多いから

です。

ただしここでは、M&Aの良否を述べているわけではありません。

M&Aによって、会社の存続が左右されたり、事業の拡大や縮小が起こり

得ます。

市場観がないと会社の方向が分からない

以上が、“マーケット”と自分の“立ち位置”を明確にする主要な点です。

仕事に忙殺されるようになると、市場全体の変化に注意が向かなくなるこ

とがあります。

転職後の仕事に就く前に、その世界の概要を知っておいたほうが良いで

しょう。

こういう着眼点は、従来、経営者のものの見方であるという考え方も

あります。

しかし、今やそれがビジネスパーソンの必須知識なのです。

意志決定というスキルのためにも、市場観は不可欠です。