コストカットは一時しのぎのテクニック

狙うは減収増益?

業績不振や経営危機の時、鳴り

物入りで登場するのがコスト

カッター経営者です。

それまでのの経営者もコスト削

減を行っていたとは思います

が、破綻寸前になって社長が交代すると、そのコストカット能力に目が向

きます。

コストカッターが取り急ぎ狙っているのは、減収増益です。

売上高が低下しても(減収)、利益率は増加する(増益)という作戦

です。

売上減少でも、利益額がアップすれば、利益率も上がります。

(利益率=利益額÷売上)

企業の存続がかかっているので、売上高は落ちても、とりえず利益率だけ

はアップさせることで、危機は一時的に回避できるでしょう。

これは1年だけではなく2-3年続くこともあります。

赤字経営から黒字転換できれば大成功で、これはV字回復と称賛されます。

コスト削減の後が経営者の勝負

問題はそのあとです。

減収増益作戦は、長くは維持できません。

コストカットの後には、必ず本業の業績アップ戦略が求められます。

事業基盤を支える売上対策、あるいは、シェア率アップ策が問われる

からです。

本当は、ここからが新経営者の腕の見せ所です。

企業の存在感は、売上規模の拡大やシェア率増加によって示されます。

大胆なコストカットは、生き残るための一時しのぎの不可欠な策です。

しかし、緊急のコストカットの後には、企業成長戦略が提示・実施され

なくてはなりません。

企業が安定したら、正常飛行に戻るということです。

ここに、コストカッターの経営者としての力量が現れます。

減収増益は長く続けられない

“経営”とは本来、事業活動の2本柱をうまくバランスさせ、コントロール

することです。

“事業拡大”と“経営管理”がその2本です。

“攻め”と“守り”といってもよいでしょう。

“目的”と“手段”の関係にあります。

コストカットは、言うまでもなく手段の一つであり、2本柱のうちの1本、

すなわち経営管理の一部にすぎません。

コストカットは経営者の仕事の一部でありますが、本業ではありません。

スリム化と同時に、そのあとの青写真を提示することが本来の再建です。

コストカッターは、必ずしも名経営者を指す言葉ではありません。

事業本体を成長させることが、時代にかかわらず経営者の使命だからで

す。

本来、経営者が求められること

コストカットそのものは別段間違っているわけではありません。

問題は、コストカットで全ての経営問題は解決されないということです。

問題は企業を支える“売上成長”も、経営責任として同時に求められること

ではないでしょうか。

コスト管理だけで競争力が決まるわけではありません。

コストカットは、毎年できることではありません。

一時しのぎではなく、中長期に企業を成長させることは、経営者に課され

た任務です。

時代は変わって、今再び、経営者には“売り”と“管理”の2本柱の確立が求め

られているのです。