レポートの作法:“客観”と”主観”を区分

価値判断が入れば主観になる

文書で報告するとき、客観的な事実と主観的な

事実は明確に分けて書く必要があります。

客観的な事実とは、誰が見てもそれが事実で

あると共通認識が得られるものです。

例えば、実績数値、成長率、就業規則、雇用契約はその一例です。

これに対して、客観的な事実をどう解釈するかが主観的な事実です。

例えば、それは「厳しい数字」だとか、「有利な契約」だ、という

ように。

価値判断が入ればそれは主観になります。

主観と客観では、信ぴょう性が異なるので、報告書では区分して整理

します。

これは、文章を書く時のマナーです。

会議における発表でも同じです。

客観的な事実と主観的な事実を、混同したままの文書や発言は、読むほう

も聞くほうも混乱します。

主観と客観を区別すれば分かりやすい

今月のある事業部の成績は、

  • 予算達成率 105%
  • 対前年比  108%
  • 全社平均値対比 110%

これだけを見て、業績は順調に推移しているといえるでしょうか。

一見そう思えますが、それを証明する事実はここには出ていません。

これだけのデータでは、“順調”というのは主観でしかありません。

例えば、直近3か月の推移がいずれも上昇傾向にある数字があれば好調と

判断できます。

けれども、前月対比が95%だとしたら、業績が上下していることになり

ます。解釈や評価は主観ですが、その根拠には客観的な事実がもっと必要

だということです。

誰にも明白な客観的な事実を先に述べ、そのあとに解釈(=主観)をまとめ

る。これがビジネス文書を書く時の鉄則です。

そこを上司は見ている

会議などでの上司のコメントを聞くと、1つのパターンがあるように

見えます。

それは、客観的な事実を余り知らない上司ほど、主観的な評価や解釈や

判断に依存するという傾向です。

客観的な事実より自己流の価値判断や、自己流の評価が先に来ます。

反対に、丹念に事実や実績に注目している上司は、1つの決定に対しての

根拠を説明できます。

こういう事実があるから、こういう意思決定になったのだ。

ここが部下にとって一番勉強になります。

また、必然的に上司に対する信頼度も変わってきます。

客観的な事実は先に、自分の主観は後に。

書き方、話し方、一つひとつを上司は見ています。