コンサル出身者ってどうなの?

過大な期待はしないほうが良い

かつて、外資系の戦略コンサル

タント企業勤務という経歴を持

つ転職希望者が、ひときわ目立

った時代がありました。

大手コンサル出身という輝かし

い経歴と、大きな期待を背負ってビジネス界で珍重された時代です。

ところが昨今では、転職希望者にはコンサル出身者は珍しくもなく、それ

ほど特別視されているとはいえない状況です。

コンサル出身者もごくありふれた応募者です。

まれに、超優秀な若手が事業会社に転職してきて、役員にまで出世した

ケースもあります。

コンサル出身者でも、なかなか優秀ではないか。

こんな反応も珍しくありません。

平凡な提案で期待を外す

今や大手企業では、コンサル経験者を特別視してはいない時代です。

コンサルタントが大量生産されているからです。

コンサルティングへの需要が大きくなり、その結果、コンサル企業が徐々

に変質してゆきました。

需要の拡大に対して、コンサル側の供給が追いつかなくなり、コンサルの

大量生産が始まったからです。

本来は経営に関するクリエイティブな専門家集団であったものが、営業優

先の普通の事業会社に成り代わっています。

少数精鋭集団の時代の、コンサル企業の最大の強みは“独創的な解決策”で

す。創造的な戦略提案といってもよいでしょう。

ところが、コンサルタントの大量生産によってその不可欠の付加価値は

ほぼ消えています。

少数精鋭集団から多数平凡企業への転換は、多くのクライアント企業が

経験しています。

事業会社側が、既にコンサル企業への過大な期待をしなくなっているのが

現実です。

何しろ、社内にはコンサル経験者がゴロゴロいるからです。

経営者からの視点

他方で、コンサル企業での経験がもたらすメリットは、事業の全体図が短

期的に学習できることではないでしょうか。

多くの会社を俯瞰して、それぞれの事業の構造を把握する。

これほど、業界を問わず、幅広く、短期間に事業会社の構造を学ぶ上で

勉強になる仕事はないでしょう。

いきなり事業会社に入社しても会社の全体構造を把握するには時間が

かかります。

従って、若い時期のコンサル経験はその後の事業会社への転職にとって、

有利ではないかと思います。

早いうちに経営の総論をコンサル経験で学び、その後の転職で業務上の

各論に集中する。

もちろん、その逆のパターンで成果を上げている方がいるのも事実です。

割と出入り自由な業界

もう1つメリットを挙げるなら、コンサル企業で一定以上の実績を残せば、

多くのコンサル企業で再就職の可能性が高いということでしょう。

ただこれは、あまり前向きな話ではないので、セーフティネットという意

味でのメリットということです。

しかし、これといった実績を残せなかったコンサル経験者は、この業界に

出入り自由とはいかないかもしれません。

コンサルタントへのハードルが低下

コンサル業界も浮き沈みがあります。

現在は、コンサルティングそのものが付加価値を低下させています。

様々なコンサル企業から事業会社に提案されたアウトプットを拝見する

と、なるほどと膝を打つものが乏しいのです。

ちょっと時間をかけ、知恵を絞れば社内でもできそうな提案書が多いの

です。

なぜなら、いまや大手企業にはコンサル出身者が珍しくない時代です。

コンサルタント経験者が、コンサル企業の提案書を吟味しているのです。

経験者は押さえどころをよく知っています。

果たしてクリエイティブか

一般的にクリエイティブな戦略提案が乏しくなっているようです。

クライアント側にとって、想定の範囲内の結論を、分厚い資料と色鮮やか

なパワーポイントで説明する。

有料でありながら、陳腐な提案は珍しくありません。

中身の濃い内容が期待されていないのです。

そのためか、クライアント側のための事務サポートが、コンサル企業に割

り当てられている状況もあるくらいです。