オペレーション改善は経営者の仕事なのか

どちらが多い?

経営者は、攻めるタイプと守りのタイプに

大別できます。

攻めるタイプとは、マーケットチャンス追求

型経営者です。市場機会をとらえ、売りまくる力を経営の基盤ととらえ、

ひたすら売上拡大とマーケットシェアを求めます。

必要とあれば、新規マーケットにも参入します。

これに対し守るタイプとは、主として企業の運営・管理が経営者の仕事で

あると信じる方々です。

オペレーション中心主義経営ともいえます。

業務効率、コスト削減、組織管理、生産性向上、在庫管理、等々。

事業運営の細部までをコントロールして徹底的に無駄を省くという経営

です。

オペレーション中心が一般化

単純な例えをするなら、前者は時代に合った“乗り物” を作ることが先決。

後者は、乗り物の時代性よりも上手な“運転” の仕方こそ経営であるという

認識です。

“乗り物”とは“稼ぐマシン”のことです。

どちらも一理あります。

市場環境や、企業の置かれた状況、業界の風潮などで選択肢は変わって

くるでしょう。

しかしながら最も根本的な事柄は、マーケットチャンスへの貪欲さなし

に、シェア率アップや企業成長はあり得ないということです。

経営センスの問題

既存市場でも新規市場でも、時代変化によってその可能性がある切り口は

変わってくるのです。

自動車ではハイブリッドからネットにつながるコネクティッドカーへ。

何が有望か、どんなカテゴリー分野が成長してゆくのか。

これをいち早くキャッチすることが、市場環境の変化に追いついてゆく

ことです。

ベースとなる売上を増やし、シェア率を維持し、また、それらを高めなけ

れば企業成長はあり得ません。

これまでの経済成長で、攻めるという発想が多くの企業で希薄化してい

ます。

オペレーション改善では解決しない

経営管理、特にコスト管理一辺倒だけでも企業が成長した時代が長く続き

過ぎたのでしょう。

その結果、経営イコール管理型経営という認識が広まります。

コストカッターが救世主であった時期もありました。

企業のローコスト運営は必要ですが、それが経営の中核になると会社は

市場環境の変化に遅れます。

ローコスト化だけでは成長はできません。

経営者は大きな視野を

最も理想的なのは、経営者である以上この2つの機能を自分の職能とする

ことです。

しかし、そういう事例はまれであるようです。

最大の門題は、攻める役割と守る役割が分業化しつつあるということ

です。

一般的に、“乗り物を”作る市場開拓策には消極的で、コンサル企業へのア

ウトソーシングは珍しくありません。

企業が今後どのような方向を向けばよいのか。

これは純然たる経営者の責務です。

コスト削減などの管理・運営業務は、本来、課長級の方々の仕事ではない

でしょうか。