目的は2つに絞られる
戦略に求められる機能は、大別すると2つあります。
第1がR.O.I.(投資利益率)の最大化。
第2がシェア率の最大化。
上記の要件の1つまたは2つの目標を達成する効果的な方法が戦略です。
R.O.Iやシェア率の“最大化”とまで行かなくても、大きな成果が見込めれば、それは戦略です。
補足すれば、中長期にわたって事業の成果を上げ続けるものです。
2つの要件は、企業の中長期的な成長にとって欠かせません。
企業の明るい将来を作る大がかりな仕掛けです。
それは戦略ではない
M&Aは手っ取り早い戦略ですが、今までにない画期的新商品の開発や誰も
試していないビジネスモデルの開拓も戦略です。
これに対し、営業力強化や販促媒体の変更などは、戦術に過ぎません。
来月や来年の成績対策は、一般的に戦略とは言えません。
この点が曖昧なまま、戦略が語られていることが多いようです。
日本では、単なる新技術やオペレーション改善を戦略と呼ぶ場合も珍しく
ありません。
経営本の中にも、戦略と戦術の違いが分からないまま書かれている本も
あります。
長期的な投資を伴う
新商品開発、資本業務提携、M&A(吸収合併)、新工場建設、新規事業
への参入、組織の改革、既存市場からの撤退、等々。
これらは、典型的な経営戦略です。
共通点は、大きな投資が行われ、最終的に高いR.O.I.と高い市場占有率の
獲得を目指す投資だからです。
長期的な視点とマクロな観点から見た、企業の将来設計とその方法論が
戦略です。
今後の会社の壮大な姿を実現する方法論が戦略です。
社長がどれだけ戦略を語れるのか注視してください。
戦略と単なる戦術を区別できないまま経営を語る経営者はたくさんいま
す。
経営者を目指すなら、戦略にはどのようなものがあるかを調べましょう。
戦略は目標数字と強化実務で示す
また、戦略の2つの機能は、どちらも数値化することが可能です。
目標R.O.I.は5年後に10%、シェア率は5%アップ、というように。
具体的な数値目標がなければ、会議で議論するときの具体策が絞れま
せん。将来の具体的な姿も見えません。
数字のない戦略提案は、単なるイラストや絵画のようなものです。
なぜ、数字が戦略提案に必要なのか。
それは、長期計画を細分化して中期・短期の行動計画や個別年度の目標
数値に落とし込めるからです。
また、各部署の機構や役割も再設定されます。
こうして、初めて“戦略”がすべての部署の仕事にリンクされます。
それによって、事業活動の実務が具体化されます。
数字がなければ、前に進めません。
その会社はどんな戦略か
明確な戦略のある企業は、その全体像と方向性がある程度見えます。
逆に、これといった戦略が不明確な企業は、どこを目指しているのか読め
ません。
転職先企業の戦略はどのようなものか。
これは、転職準備中に是非つかむべきことです。
その企業が、業界内でどんなポジションにあり、他社と比べてどんな点で
優位性を作ろうとしているのか。
戦略を知れば、ご自分の役割や位置づけもおよそ分かるのでは。