優秀な会社と優秀な人の共通点
それは、どちらも生産性が高い
ということです。
生産性とは、従業員1人当たり
の荒利益額(時に売上高)を意
味します。
生産性を高めることは事業会社の宿命です。
「結果を出せ」と言うとき、求められる「結果」は生産性のことです。
利益は、生産性に比例しているからです。
それでは、生産性をアップさせるためには何をすればよいのでしょう。
答えは、”直接”生産性を高めることです。
一体、何を生産するのか
生産性とは仕事の効率を測る一般的な指標です。(“3つの生産性”参照)
会社や人の能率です。
通常、生産性とは従業員一人当たりの獲得荒利益額を指します。
これを労働生産性と呼びます。
例えば従業員100人の会社が、全員で荒利益額1000万円を稼ぐと、労働生
産性は、1000万円÷100人=10万円/人となります。
この時、“売上高”を使う方が計算上便利なら、獲得”荒利益額”の部分を”売
上高”に置き換えます。この場合は、売上生産性となります。
生産性という言葉の”生産”とは、売上や荒利益の生産を意味するのです。
ここまでは、生産性の基本です。
直接業務と間接業務に分けて見る
売上生産性にしても、労働(荒利益)生産性にしても、これらは平均値です。
ここが今回のポイントです。
生産された売上や荒利の総額を会社の全員で割り算した結果は、正確に言
うと、1人当たりの平均生産性です。
確かに、この計算式は単純で、意味も分かりやすいでしょう。
ところが、生産額を全従業員数で割算することは現実的ではないのです。
なぜなら、会社では生産活動に全員が”直接”参加している訳ではないから
です
メーカーの場合、製造に従事しているのは工場長までの現場従業員です。
小売業なら、店長以下の販売業務に直接かかわっている人たちです。
サービス業でも、サービスを提供している直接要員です。
生産性の決め手は現場
本部(または、本社)には様々な”間接”部門が集まっています。
人事、経理、教育、財務、保安、等々です。
これら間接業務がなくては、会社運営はできません。
ですが、間接部門がいくら優秀でも、トータルな(平均的な)生産性アッ
プには大した影響を与えられません。
この点を踏まえた上で、ズバリ、生産性の最大部分は現場=直接部門に
かかっているのです。
生産に直接関与している従業員の効率こそが、生産性アップの大きなカギ
なのです。
そこで、直接人員だけの生産性を知る必要が出てきます。
それが“直接生産性”です。
総生産額÷直接業務人員数。
直接人員数とは、本社の従業員数といってもよいでしょう。
これが、直接生産性です。
直接業務はあらゆる生産性の中核にあります。
企業の優秀さはここから来ています。
生産性ギャップ
直接生産性と間接生産性の両方とも高ければ、最高の生産性を発揮する
でしょう。
逆に、両者の間に大きなギャップがあれば、生産性の足を引っ張ります。
現場が優秀でも本社が非力な場合や、本社が優秀でも現場が弱い場合を考
えてみればわかるでしょう。会社の経営資源が効率的に使われていないか
らです。
生産性を引き上げるには直接生産性に注目することです。
しかしながら、慣れてきたら、間接部門の生産性もチェックしなくてはなりません。
本社機能の弱点が見つかるからです。
優秀な経営者と生産性
こうして、会社組織を直接部門と間接部門で分けて見ると、会社全体を
鳥瞰できるでしょう。
こうした観点が経営者の基本的なスキルなのです。
多くの会社の経営者は、ご自分の出身地(間接部門か直接部門か)に視点
が偏る傾向があります。
はっきり言って、偏った視点を持つ経営者は決して優秀ではありません。
片方しか語れなければ、せいぜい部長止まりなのです。
役員になってもそのポストが重荷になるでしょう。
若い頃から両方を見ることで、経営者の視点を学ぶことができます。