スタートアップから勧誘された時

自分が別の人間になったような瞬間

スタートアップ(起業)からの

お誘いは、大いに心騒がせる提

案かもしれません。

多分、うっとりして自尊心をく

すぐられかもしれません。

それでは、スタートアップへの

転職も選択肢の1つと考えてい

る方は、どこに関心があるでしょうか。

「破格の待遇」、「六本木勤務」、「日本初のベンチャー」、「カタカナ

の職位名」、「株式公開」、「ストックオプション」、「自分探し」、

等々。

様々な好奇心や、ご自分の成功像を刺激されることでしょう。

先のことは分からない

しかし、実際にはスタートアップの成功確率が非常に低いことも、頭では

分かっています。

実態は、まだ企業の体をなしていない場合も多いです。

また現在順調でも、何かのきっかけであっけなく破綻することもあるのが

ベンチャーです。

余りにも、話がうま過ぎると思うときもあります。

「えっ、こんな仕事が成り立つの?」

スタートアップか、従来の事業会社か?

突然輝けるチャンスのように思うかもしれませんが、現実的な観点で見て

みましょう。

リアリティを感じるか?

中立な立場でスタートアップの会社説明を受けるとき、ぜひ気に留めてお

いてほしいことがあります。

それはリアリティ(現実味)です。

会社説明を聞いて、その話からどれほどの現実感が得られたでしょう。

創業者が事業にどれほど情熱的でも、第3者にはリアリティの根拠が知り

たいです。

その典型例が“数字”です。

できるだけ数字で説明を受ける

これから参入する市場の推定規模、既存業者のシェア、市場の成長率、自

社の想定シェア率、派生市場の想定、今後の採用ポスト、本業と既存事業

との副次効果、資金調達、今後3年間の投資計画と投資項目、等々。

「まだ始まってもいないんだから、そんな数字なんてない!」

こういわれる場合が多いでしょう。

でも、就活時でよく求められる“フェルミ推定”を思い出してください。

例えば、電車1両に何個のバスケットボールが詰め込まれるか、といった

問題がそれです。

正確な答えでなくとも、推計値や論理的な推測ができれば、ラフな推計は

できます。

数字が存在しない事業は、希望的観測事業

また、類似事業を挙げて他の具体的な面でリアリティを伝える方法もあり

ます。

起業家はメンバーの中で最大のリスクを賭けているはずです。

起業とは、自分の家屋敷、全財産、借金、人生を賭けた挑戦です。

誰よりも、事業としてのそのリアリティを支える最低限の数字とその推計

くらいは、起業家自身は大雑把でも掴んでいてほしいのです。

年ごとの目標も。

これらは起業以前に求められるビジネスマナーの問題です。

基本的な経営計画です。

決してスタートアップの全てを懐疑的に見よ、といっているわけではあり

ません。

スタートアップが成立する客観的な情報を共有する事でしかありません。

立ち上げ済みなら、情報を徹底収集する

勧誘する人の言葉は陳腐です。

「オレたちで日本を変えようぜ」

「世界がオレたちを求めてくる」

「新しいグローバルリーダーになる」

どこかで聴いたことのあるキャッチコピーです。

勧誘企業の幹部や創業者は、真剣に熱弁をふるいます。

でも、何らかのリアリティが欲しいのです。

ビジネスは結果だ、と言われます。

結果を想定できる現実的な数字が必要です。

数字で始まり、数字で結果を判断される。

これがビジネスです。

スタートアップも既存事業も同じ原理です。