新興の急成長フードサービスが急落のわけ

ロケットスタートできる飲食業

フードサービス(飲食業)は起

業が早くでき、創業資金も相対

的に軽く済みます。

初めは2-3店の少数事業での独

自性づくりに努めます。

そのユニークなサービスや方法

が順調に軌道に乗ると、

一部の野心的な経営者は急速な

急激な多店舗展開を始めます。

最近までは、知る人ぞ知るマイナーな飲食業が急速出店して、チェーン化

を開始します。

10店舗どころか、100店舗をも超えてゆきます。

さらには、株式公開までたどり着く企業もあります。

無名の企業が、突如、一躍脚光を浴びる話題の企業になってゆくシンデレ

ラ・ストーリーの段階です。

すぐにピークがやってくる

意外にもそのロケットスタートは長くは続きません。

1つのビジネスモデルが成功すれば、そのコピーが簡単なのもフードサービ

スの特徴です。

つまり、最初は奇抜な発想で始めた新しいビジネスモデルでも、どこでも

コピービジネスが増えて、すぐに陳腐化するのです。

早くスタートアップできる半面、賞味期限が短い。

ライバルがいつの間にか増え、ビジネスが同質化し、価格競争に巻き込ま

れます。

ここで共通に採られる対策が、一層のコストダウンによる経営のスリム化

への転換です。

ところが、これで業績低下がとどまらないケースがあります。

あっという間に事業規模に追い越される経営

飲食企業も他と同様、保有人材の能力の範囲内でしか成長できません。

具体的には店長人材の育成と確保が決め手になります

肩書としての店長ではなく、店長にふさわしい経験とスキルを持った

スペシャリストとしての機能です。

店舗数が急激に増え、これに対し、現場運営スキルを持った社員数が相対

的に不足すると、オペレーションが追いつかなくなるということです。

店舗でのサービスレベルの低下が顕著になります。

身の丈に合った店舗数をにらみながら、出店計画を立てなければ、やがて

はオペレーションが破綻します。

店長人材が枯渇すると、店舗閉鎖や大規模なリストラにつながってゆきます。

もちろんコストカットという事情もあります。

事業規模が経営能力を上回ってしまった段階に突入です。

店舗数が、有能店長の保有数を超えた時から、下り坂に入ります。

急上昇から、急降下へ

ジェットコースター型の経営とは、経営者の能力問題に行きつきます。

オペレーション問題は経営問題だからです。

オペレーションコストの削減だけで規模拡大を続けられません。

サービスのクオリティを維持しながら出店をする。

その基礎体力があるのかどうか、確認する必要があります。

サービス業の多くは「コスト管理」が先にあり、という経営の風潮があり

あます。

人材の枯渇という問題はどこに行ったのでしょう。

人件費を人材と見るか、それともコストとして見るのか。

フードサービスは恒常的に人材不足です。

非正規やパート・アルバイトでは埋められないスキル人材の不足こそ、

業績低下が長期化する要因です。