部下の問題指摘から逃げる上司の評価

むなしい会議

会議では、時として異なる意見

が提案されることは珍しくあり

ません。

上司からの意見や提案でも、

決定的な解決策にならない

場合もあります。

上司の案があまりにも拙劣だったのでしょう。

こういう時、重要な意思決定の場で、決定権のある上司が孤立して、

会議はにっちもさっちも行かなくなります。

見当はずれの提案をした上司に視線が集中します。

多くの参加者は若手の正論に賛同しています。

出世する上司の分岐点

しかしこうなると、上司は意地でも納得しません。

自分の案を押し通そうとします。

ここは本来なら、上司の意見の正否よりも先に、最善の解決策の検討を

すべきでしょう。最適な結論を求めて再議論することです。

良いアイディアなら、検討し決定を変更すればよいだけです。

ところが、会議が紛糾したまま閉会し何の結論も決まらなかった。

成果なき会議です。

責任は上司にあります。

異論は成長の機会

問題なのは翌日です。

上司のさらに上司である部長が会議メンバーを集めて告げました。

「これからは、課長に異論ある時、事前に私(部長)に直接言ってくれ」

あきれた話です。

議論をまとめる仕事は、本来、課長の責任だからです。

課長は責任から逃げたのです。

議論を避ける課長だと、皆に暗黙に伝えられたようなものです。

管理職でありながら、困ったことが発生したら、自分で解決せず部長に

依存する。

ビジネスパーソンとしての資質を問われることです。

社会人としての自立が疑われます。

チームに溶け込むには

問題の課長は決してデキない上司ではありません。

ただ、彼は転職後2年目という立場にあり、ここ一番でリーダーシップを

発揮したかったのかもしれません。

決定者としての力量を見せたかったのかもしれません。

実力の発揮に焦っていたのでしょう。

しかしここには、重要な観点が欠落しています。

会議で出される異論は、自分にとって一つの学びになるという点です。

新しい事柄を勉強する機会であると言うことです。

これを積み重ねると課長も成長し、組織は学ぶ姿勢になってゆきます。

部下と上司が互いに意見を尊重し、相互に情報交換する。

そして、客観的な判断を下す。

この繰り返しによって、会社は“学習する組織”になってゆきます。

要するに、対等に議論できる社風作りこそ、上司に最も求められている

役割だということです。

会議を通じて多くを学ぶ

管理職にとっては、このことは、どんな組織に行っても通用する基本原理

であることを再確認する必要があります。

自分が上司であっても、部下の良いアイディアは貪欲に吸収してゆく。

謙虚な、すがすがしい姿勢です。

こちらのほうが、むしろリーダーシップを発揮できます。

部下に対する良いお手本です。

リーダーシップとは、自分の意見を常に押し通すことではありません。

リーダーシップとは、自分が常に成長してゆくことに他なりません。