ミドルマネジメントは未発掘の資産

組織活性化で見逃されている

日本企業の潜在能力はミドル層に

たくさん隠れています。

ミドルとはミドルマネジメントの

ことで、中間管理職とも呼ばれま

す。

課長のことです。外資系ではマネ

ージャーとも呼ばれます。

各社のミドルは多くの場合、玉石混交の状態にあります。

能力主義といわれる今日でも、ミドルには能力格差が厳然とあります。

実務能力でいえば、課長を超えた社員も少数いますが、課長はとても無理だと

いう人材の方が案外多いものです。

このミドル層から、いち早く、部長候補を抜擢することが企業成長で今求めら

れていることです。

ミドルからの抜擢は重要な組織活性化策といってもよいでしょう。

ミドルからの抜擢という戦略

部長適格者の圧倒的な不足。

これが多くの企業に見られる共通の現実です。

部長という肩書を持ったベテラン社員は多いのですが、部長としての実際の

役割をきちんと果たす実力者はどの企業も乏しいのです。

その原因は、あいまいなままミドルに昇進する組織文化にあるのではないで

しょうか。

年功序列マインドは、ミドル昇進まではまだ機能しているようです。

しかし本来、ミドルになることは難関課題なのです。

ミドルになれば、その上の職位につながってゆくからです。

問題はここです。

実力の証明を十分果たさずにミドルになると、その中から昇進した部長は組織

のボトルネックになることが多いのです。

「あの人がなぜ部長?」とささやかれます。

しかも部長職は、一般的に次世代の役員候補となります。

間違って、その能力不十分な部長が会社のトップになることもあります。

世に言われる「無能な経営者」の誕生です。

これは、ミドルの選抜に失敗した結果です。

給与アップと権限強化

ミドルの中から有望なミドルを選抜する際必要なことは2つあります。

第1は、大幅に給与を引き上げること。

第2は、従来型の課長やマネージャー以上の大きな意思決定権を付与すること。

より大きな仕事を与えられ、大幅待遇アップをして、仕事を任せるのです。

実力がより鮮明になるのではないでしょうか。

こうして選抜された上位のミドルはもはやシニアマネージャーではなく、ジュ

ニアディレクター(部長候補者)といってもよいでしょう。

これが、会社の潜在能力はミドルにあり、という意味です。

トップマネジメントの変更だけでは不十分

欧米流の経営が浸透するにつれ、CEO(経営者)の報酬が天井知らずといわれる

ほど上昇してきています。

これが、社内だけでなく世の中の賃金格差の要因ともされています。

この過大な経営者報酬によって、その企業がどれだけ大きな成果を上げてでしょうか。

上場企業がたくさんある中で、スカウトされた実力経営者と莫大な報酬によっ

て画期的な成長を遂げた企業の事例はあまり聞きません。

日本型企業の強みはミドルの勤勉さにあるのではないでしょうか。

高所得までいかなくても、それなりの給与で責任を果たすミドルの存在は、会

社を支える重要な基盤です。

この「沈黙のミドル」の潜在能力を発揮させることは、これからの経営者が着

手すべき課題です。

積み残された宿題

今、平社員並みの待遇で黙々とミドルに励む方々。

これから転職して、やがてミドルに配置される方々。

起業して、ようやくミドルを採用する時期に至った経営者の方々。

今までの課長職に対する固定観念から離れて、ミドルの位置づけを見直しては

いかがでしょう。

トップや上層部ばかりではなく、ミドルから、あるいは中途採用者から部長候

補者を選抜する仕事をお忘れにならないよう。