数字の一覧表は、まず加工してみる
実は、仕事の世界では「知られざる」実用的な技能が求められます。
その1つが数字の集まりからその意味を読み取ることです。
「知られざる」というのは、誰もが、明確に、言葉でアナウンスされて
いるわけではないという意味です。
常識として浸透してはいないが、本当は常識として意識したほうが良い
スキルです。
「知る人ぞ知る」知識といった方がよいかも知れません。
気づいたら早めに身につけるべきおすすめの習慣です。
数表はそのままの状態では、なかなか意味がつかめません。
そこで、意味が分かりやすくなるように加工します。
数字に慣れるための最初で最大のコツは、表(データ)の加工です。
特に並べ替えが重要です。
身近な事例から入りましょう。
例えば、次のような統計(表)から何を読み取れるでしょうか。
どこから目を付けたらよいのでしょう。
2022年 全国都道府県別男女人口(住民基本台帳) | |||
<表-1> | 男 | 女 | 合計 |
北海道 | 2,450,393 | 2,733,294 | 5,183,687 |
東京都 | 6,775,557 | 7,019,376 | 13,794,933 |
神奈川県 | 4,590,365 | 4,624,845 | 9,215,210 |
千葉県 | 3,144,185 | 3,166,690 | 6,310,875 |
埼玉県 | 3,688,311 | 3,697,537 | 7,385,848 |
静岡県 | 1,808,923 | 1,849,452 | 3,658,375 |
愛知県 | 3,768,579 | 3,759,940 | 7,528,519 |
大阪府 | 4,237,852 | 4,562,901 | 8,800,753 |
兵庫県 | 2,627,723 | 2,860,882 | 5,488,605 |
福岡県 | 2,430,957 | 2,677,550 | 5,108,507 |
合計 | 35,522,845 | 36,952,467 | 72,475,312 |
気付いた点はいろいろあると思います。
ですが、最初に見るべきはデータ全体の姿です。
例えば、上記の表を下記のように加工してみましょう。
<表-2> | 男 | 女 | 合計 | 構成比 | 累計比 | |
1 | 東京都 | 6,775,557 | 7,019,376 | 13,794,933 | 19.0% | 19.0% |
2 | 神奈川 | 4,590,365 | 4,624,845 | 9,215,210 | 12.7% | 31.7% |
3 | 大阪府 | 4,237,852 | 4,562,901 | 8,800,753 | 12.1% | 43.9% |
4 | 愛知県 | 3,768,579 | 3,759,940 | 7,528,519 | 10.4% | 54.3% |
5 | 埼玉県 | 3,688,311 | 3,697,537 | 7,385,848 | 10.2% | 64.5% |
6 | 千葉県 | 3,144,185 | 3,166,690 | 6,310,875 | 8.7% | 73.2% |
7 | 兵庫県 | 2,627,723 | 2,860,882 | 5,488,605 | 7.6% | 80.8% |
8 | 北海道 | 2,450,393 | 2,733,294 | 5,183,687 | 7.2% | 87.9% |
9 | 福岡県 | 2,430,957 | 2,677,550 | 5,108,507 | 7.0% | 95.0% |
10 | 静岡県 | 1,808,923 | 1,849,452 | 3,658,375 | 5.0% | 100.0% |
合計 | 35,522,845 | 36,952,467 | 72,475,312 | 100.0% |
表-2は、人口の多い順に並べ替えました。
そして、表の右端に累計比を追加しました。
この2つが、ここでのデータの加工ポイントです。
こうして分かることは、全国人口上位10県のうち上位5県でその65%を
占めていることです。
人口順位ベスト10のうち半分の5つの都府県で3分の2を抱えています。
参考までに、47都道府県のうち上位10県だけで全国人口の58%を占めて
います。
このように、ほとんどのデータには、ここで挙げたような数字の偏り(集中)
があります。
この偏りをどう活用するかで、仕事のヒントがつかめます。
この”集中”が、数表から意味を読み取る1つのキッカケになります。
人口統計と違い、ビジネスデータの場合、数字の“集中度”が大きなカギに
なります。
“集中度”はビジネスの意思決定の基本だからです。
数字の集中はどんな販売データでも見られます。
すると、どこに仕事を集中すればよいかが分かります。
この点については次回以降に詳しく述べます。
ヒントをつかみ出すための7つの方法
数表からその意味を読み解く“目的”は7つあります。
これらは、データ解釈の7つの鉄則といってよいでしょう。
どれもこれも非常に初歩的で基本的な事柄です。
格別、数字に詳しくなくても、誰でも使える指標です。
ところがなぜか、これらのことがビジネス最前線に浸透しているわけ
ではありません。
データ解釈の7つの鉄則 | |
1 | 主力選定 |
2 | 構成比 |
3 | 前年比 |
4 | 標準値 |
5 | 季節指数 |
6 | 異常値 |
7 | 仕事の変更 |
上記の7つは、販売データから短時間で収穫を得るための基本手順です。
これらの指標は販売データ以外でも同じような使い方ができます。
次回から、この7つの活用法について解説します。