予算達成のための練習問題(1)

売上目標を提示された時

ここからは、実践的な数字のとらえ方の練習問題に入ります。

例えば、ある会社で下記のような売上目標(予算)が提示された時、皆さんは

どのように対策を練るでしょうか。

これが今回の練習問題です。

<表-1> 支店別の売上予算(単位は円)
①支店 ②来期予算売上 ③今期売上 ④今期比
北海道 440,000,000 400,000,000 110%
宮城 157,500,000 150,000,000 105%
茨城 324,000,000 270,000,000 120%
埼玉 880,000,000 800,000,000 110%
東京 2,420,000,000 2,200,000,000 110%
千葉 770,000,000 700,000,000 110%
神奈川 1,320,000,000 1,200,000,000 110%
新潟 126,000,000 120,000,000 105%
静岡 315,000,000 300,000,000 105%
愛知 945,000,000 900,000,000 105%
京都 209,000,000 190,000,000 110%
大阪 1,210,000,000 1,100,000,000 110%
兵庫 630,000,000 600,000,000 105%
広島 200,000,000 200,000,000 100%
福岡 437,500,000 350,000,000 125%
合計 10,384,000,000 9,480,000,000 110%

こうした場合、最初の手続きは前回の人口統計の時と同じ手順です。

すなわち、初めに売上高の順番に支店と数字を並び替えます。

その結果は表2のようになります。

<表2> 練習問題-1 来期予算の達成のために
①支店 ②来期売上 ③今期売上 ④今期比
東京 2,420,000,000 2,200,000,000 110%
神奈川 1,320,000,000 1,200,000,000 110%
大阪 1,210,000,000 1,100,000,000 110%
愛知 945,000,000 900,000,000 105%
埼玉 880,000,000 800,000,000 110%
千葉 770,000,000 700,000,000 110%
兵庫 630,000,000 600,000,000 105%
北海道 440,000,000 400,000,000 110%
福岡 437,500,000 350,000,000 125%
静岡 315,000,000 300,000,000 105%
茨城 324,000,000 270,000,000 120%
広島 200,000,000 200,000,000 100%
京都 209,000,000 190,000,000 110%
宮城 157,500,000 150,000,000 105%
新潟 126,000,000 120,000,000 105%
合計 10,384,000,000 9,480,000,000 110%

こうした後で、次に各支店の実績の内容を見てみましょう。

実績の内容は、ここでは一般的な項目(横軸名)だけにしてあります。

<表3> X社 支店別販売実績:売上、構成比、累計比、荒利益高、荒利率

順位 支店名 今期売上実績 構成比 累計比 前年比 今期荒利 荒利率
1 東京 2,200,000,000 23% 23% 112% 687,500,000 35%
2 神奈川 1,200,000,000 13% 36% 110% 349,090,909 32%
3 大阪 1,100,000,000 12% 47% 108% 356,481,481 35%
4 愛知 900,000,000 9% 57% 102% 273,529,412 31%
5 埼玉 800,000,000 8% 65% 107% 239,252,336 32%
6 千葉 700,000,000 7% 73% 107% 196,261,682 30%
7 兵庫 600,000,000 6% 79% 100% 180,000,000 30%
8 北海道 400,000,000 4% 83% 95% 126,315,789 30%
9 福岡 350,000,000 4% 87% 88% 127,272,727 32%
10 静岡 300,000,000 3% 90% 90% 83,333,333 25%
11 茨城 270,000,000 3% 93% 105% 77,142,857 30%
12 広島 200,000,000 2% 95% 89% 62,921,348 28%
13 京都 190,000,000 2% 97% 105% 59,714,286 33%
14 宮城 150,000,000 2% 99% 92% 40,760,870 25%
15 新潟 120,000,000 1% 100% 95% 35,368,421 28%
合計 9,480,000,000 100% 105% 2,894,945,453 31%

上位集中がビジネスの現実

初めに、売上高に注目してみましょう。

すると、この数表でも特徴的な構造が見えてきます。ここが入り口です。

人口統計と同じように、ここでも数字の偏りが見て取れるからです。

上位の支店だけで全社売上の大半を稼いでいるということです。

上位5支店で売上全体の3分の2、上位7支店では8割を占めます。

たいていの事業会社では、通常、営業所別、商品別、部門別に、こうした

上位集中の構図が見て取れます。

このような数字の見方はパレート分析、ABC分析、80対20の法則などと

呼ばれます。(ABC分析とはABCランクに分類すること)

ここでは、”主力の選定”と呼びます。

売上の大半を稼ぐ売上上位のAランク支店群が、ここでの”主力”になります。

ただし、主力の合計を何パーセントで線引きするかは、企業ごと、部署

ごと、担当者ごとに決めればよいでしょう。

主力が決められなければ、仕事は始まりません。

主力以外の支店群(店舗、商品、事業など)は補助として位置付けます。

また実際には、主力以外のグループを2つに分類し、準主力と補助に

分けると、より詳しく管理しやすくなります。

仕事は主力から始めて、補助で終わる

従って、常に最大の課題は”主力”予算の達成です。

予算に関しても主力の予算が未達なら、全体の予算は達成でき

ないでしょう。全体実績の例えば70-80%を占める主力を売らなければ、

目標は達成できないことは、容易に想像できるでしょう。

この着眼点は、仕事に対する効果的なスキルです。

どんな業務も最優先事項が見えれば、成績アップのためのピンとが

定まります。

世の中には、このポイントを外している経験豊富なビジネスマンは

結構多いですが、そうした方々は数字の基本スキルを熟知していない

のです。数字オンチとは別の問題です。

売上全体のせいぜい2-3%ほどの補助商品に時間をかけても成績には貢献で

きません。

極端に言えば、仕事を全部しなくても主力予算の達成だけに絞った業務だけで

その月の業務は完了ということも可能です。

主力予算を達成できれば、普通は、全体予算も達成です。

補助業務は後回しでいいのです。

どんな数字の集まりを示されても、まず主力を発見すること。

これはビジネスマンの入門編です。