主力の前年割れは見逃せない

主力のチェックポイント

今度は、実績が次表のような場合、どこから目をつければよいでしょう。

まず、売上上位の主力支店群の前年対比実績を見てみましょう。

(表1の横軸の右端の項目)

表-1 主力の前年比の比較
順位 支店名 今期売上 前記売上 前期構成比 前期累計比 前年比
1 東京 2,200,000,000 2,000,000,000 22% 22% 110%
2 神奈川 1,200,000,000 1,224,489,796 13% 35% 98%
3 大阪 1,100,000,000 1,000,000,000 11% 46% 110%
4 愛知 900,000,000 927,835,052 10% 56% 97%
5 埼玉 800,000,000 842,105,263 9% 65% 95%
6 千葉 700,000,000 666,666,667 7% 72% 105%
7 兵庫 600,000,000 600,000,000 6% 78% 100%
8 北海道 400,000,000 400,000,000 4% 83% 100%
9 福岡 350,000,000 368,421,053 4% 87% 95%
10 静岡 300,000,000 315,789,474 3% 90% 95%
11 茨城 270,000,000 264,705,882 3% 93% 102%
12 広島 200,000,000 210,526,316 2% 95% 95%
13 京都 190,000,000 180,952,381 2% 97% 105%
14 宮城 150,000,000 147,058,824 2% 99% 102%
15 新潟 120,000,000 120,000,000 1% 100% 100%
合計 9,480,000,000 9,268,550,706 100% 102%

前年の実績では、上位7支店だけで全社売上の約8割を上げています。

ところが、上位7支店の売上の前年比を見てみると、デコボコがあります。

前年売上げを超えた支店もあれば、前年割れ支店もある。

こういうケースはよくあることかも知れません。

しかしながら、数字を作るビジネス発想からは、主力の前年割れは決して

見過ごせない点です。

「なぜなのか」の追求

売上の80%を占める主力支店(又は主力商品)が不安定なら、トータルの

実績も不安定になります。

ここが安定しないと、毎月の予算達成は見通せません。

会社の大黒柱がぐらついているようなものだからです。

ところが、上記の表1では主力支店群の中には前年割れが見て取れます。

売上2位の神奈川支店(98%)

4位愛知支店(97%)

5位埼玉支店(95%)

前年実績に近いとはいえ、昨年より売上が落ちています。

主力が活躍しなければ、仕事の成果は期待できません。

主力以外は、とりあえず後回しです。

幸いにも、ここでは下位の支店の中で頑張っているところがあるので

トータルな実績は102%になっています。

でも、ここで主力に前年割れが発生しなければ、業績はもっとアップした

でしょう。

主力に前年割れがないかどうか。

ここが、大切なチェックポイントの1つです。

なぜなら、翌月や翌年の重点対策は、この3支店に絞られるからです。

販促、物流、マーケティング、営業、競合、原価変動、教育、等々。

これらの3つの支店で何が行われ、何が行われなかったのか。

これらの支店の事業環境に何か特別な変化があったのか。

洗い直すべきことは、いろいろあるでしょう。

ここから、仕事が進化してゆきます。

主力チェックは基本スキル

数字をチェックするスキルが上がってゆくと、そもそも、主力に実績

ダウンがあること自体に問題があることが分かります。

なぜなら、通常、主力の予算達成という目的から優先的に対策を練る

からです。

初めから主力が最優先課題ならそれなりに対策や準備がされて、従って、

結果もダウンするということはあまりないのです。

つまり、主力の前年割れがたびたび起こっているのなら、そこには

優先課題の設定という認識が乏しかったのではないでしょうか。

問題の大きさに気が付かないのかもしれません。

主力も補助も総花的に対策を準備するというのでは、結果は期待でき

ません。

それで結果が出るなら、主力の優先的な強化によって業績はさらに

アップするでしょう。

主力の実績変動のチェックは、本来、数字に詳しいかどうか以前の

問題です。

今日のビジネスマンにとっては、基本的な素養といってよいでしょう。

予算達成という目的に対して、まずは主力から入り、主力の実績動向を

掴んで、対策を打つ。

このためにデータを使えば、仕事は単純になります。