売上げアップのための数字の細分化

”主力”のチェックは入り口に過ぎない

ここでもう一度予算達成問題に戻ります。

前回は、主力支店(又は主力部門)から優先的に予算達成を事前に計画する

という手順を説明しました。

それでは、その後どうやって予算達成活動を続けて行けばよいのでしょう。

それが、主力を細分化することです。

主力支店には複数の営業所が含まれているとすれば、その内訳を営業所

別の実績構成比として整理します。(表1)

つまり、”支店”を大分類としたとき”営業所”はその次の段階の中分類と見る

ということです。

来期の予算が提示された時、最初に、各支店の中でも売上の大きな主力支店

から各営業所別の実績と構成比を算出します。

それが、例えば、下記の表1です。

表1 神奈川支店:営業所別実績
営業所名 売上 構成比 累計比
1 横浜 564,064,000 47% 47%
2 川崎 228,640,000 19% 66%
3 相模原 108,000,000 9% 75%
4 藤沢 66,544,000 6% 81%
5 横須賀 58,995,000 5% 86%
6 平塚 38,445,000 3% 89%
7 茅ヶ崎 36,923,000 3% 92%
8 大和 36,485,000 3% 95%
9 厚木 33,559,000 3% 98%
10 小田原 28,345,000 2% 100%
合計 1,200,000,000 100%

”主力”の中の”主力”を見つける

表1は、売上げ第2位の神奈川支店が抱える10の営業所の実績を売上順に

一覧表にまとめたものです。

ここで分かるのは、売り上げ上位の4営業所だけで神奈川支店の売上の8割を

占めているということです。

ここでも数字の偏りが見えます。

つまり、神奈川支店の予算達成の可否はこの4つの営業所の成績にかかって

いるということです。

10の営業所のうち半分の5営業所では、神奈川支店の売上の86%に達します。

従って、上位4~5の営業所で予算達成できれば、ほぼ確実に全体予算の

達成が見込めます。

これが業績の細分化の目的です。

前回では、神奈川支店の業績が主力でありながら前年割れだったので、

上記のようにその内訳となる営業所別の実績をまとめました。

基本は、売上げ第1位の支店の営業所別実績の整理から始めます。

上位の支店(大分類)別の実績を、各営業所(中分類)別の内訳として

売上げ順に並べれば、ターゲットとなる営業所が具体化します。

大事なポイントは、主力支店の中のさらに主力を見極めるということです。

これができれば数字は怖くありません。

数字はそのためにまとめられるべきなのです。

細分化の方法は1つではない

上記のように、実績を細分化する時の細分化の最適な項目は決して

決まっているわけではありません。

練習問題-1では、大分類を支店別にして、次の段階(中分類)を営業所として

数字を整理しました。

しかしながら、場合によっては、中分類単位を”商品”別に置き換えたほうが

対策を打ちやすいこともあります。

例えば、各支店の業績の内訳を販売商品の金額で示した方が、現実的で

分かりやすい場合もあるでしょう。

要するに、大分類や中分類の設定は各社の対象市場に合わせた項目で

決めるべきだということです。

固定する必要はありません。

ビジネスは時代変化に対応するものです。

柔軟な数字の使い方があってよいでしょう。