店別集計から商品別の実績分析へ
これまで、支店から個別の営業所へという実績の細分化の事例を見て
きました。
ここで、もう1つ別の細分化の事例を見てみましょう。
それが、”支店”別から”商品”別に販売実績を、大分類と中分類で整理する
方法です。
その典型が、小売業の販売データの見方です。
こちらの方が多くのビジネスに応用できるかもしれません。
例えば、次の表は食品スーパーにおける商品(大分類=部門)別の販売
実績事例です。(部門名など説明上、簡略化してあります)
商品部門 | 売上 | 構成比 | 累計比 | |
1 | 生鮮食品 | 408,000,000 | 34% | 34% |
2 | 一般食品 | 180,000,000 | 15% | 49% |
3 | 日配品 | 156,000,000 | 13% | 62% |
4 | 菓子 | 144,000,000 | 12% | 74% |
5 | 冷凍食品 | 120,000,000 | 10% | 84% |
6 | 調味料 | 72,000,000 | 6% | 90% |
7 | 飲料 | 60,000,000 | 5% | 95% |
8 | 消耗雑貨 | 36,000,000 | 3% | 98% |
9 | ペット用品 | 12,000,000 | 1% | 99% |
10 | 家庭用品 | 12,000,000 | 1% | 100% |
1,200,000,000 | 100% |
この表でも、数字の上位集中が見られます。
部門のうち上位4部門だけで総売上の4分の3(74%)を稼いでいます。
そこで、早速上位4~5部門の強化対策から入る、というのが基本手順です。
それはここでも原則的な主力強化策です。
準主力部門の位置づけ
ところがここで注意すべきは、準主力部門群です。
具体的には
売上第5位の冷凍食品
第6位の調味料
第7位の飲料
です。
これらの売上は全体の18%ほどです。
下位3部門(消耗雑貨、ペット用品、家庭用品)になるとどれも売上構成比
は3%以下です。
これらは、数字上、全体業績にほとんど影響がない補助部門という位置づけ
になります。
上位の”主力”と下位の”補助”の中間にあるのが”中位”の準主力部門群です。
ここの扱いが、事業によっては重要になります。
中位の売上合計18%というのは、上位4部門の合計74%と比較すると
明らかに小さいです。
しかしながら、運営しているビジネスモデルは食品スーパーであることを
忘れてはいけません。
事業の中核要素は何か
食品購買のためのワンストップショッピング機能は、スーパーの生命線です。
生鮮食品ほどの差別化力は求められなくても、食品の各部門は競争力の
中核であるという点では同じ重さを持っています。
消耗品、ペット用品、家庭用品は、ついで買いという利便性で置かれている
だけです。差別化や競争力にあまり貢献してはいない補足的な部門です。
従って、これらの部門は従来通りの補助扱いでも差し支えません。
(できる範囲での努力は必要)
これに対して、食品の総合性で集客している食品スーパーに対しては、
主力だけではなく、食品部門に所属する準主力部門に対しても、お客の
目は光ります。
要するに、食品スーパーという業態においては、主力商品の構成比だけに
基づいて販売方針を決定するというわけにはいかないということです。
主力部門以外でも、事業によっては軽視してはいけない商品もあります。
スーパーでは、食品と名の付く部門はすべて、与えられた売場面積の中で
最強の工夫をするということです。
ここが、食品スーパーに対する独自の着眼点です。