業界や社内の基準値を新しい経験値に

数字の読み方に慣れる基本

<前回の練習問題>

下記の表は前回の練習問題で使った売上の季節変動の事例データです。

この時の入り口は、季節指数の大きい月から優先的にチェックする、

ということでした。

この表では12月130%と7月120%が目立っているので、ここから深堀りします

表-1
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
売上 90万 70万 90万 95万 100万 110万 120万 100万 90万 100万 110万 130万

深堀りするということは、より細分化されたデータを見るということです。

例えば、12月の実績の内訳、すなわちカテゴリー別に季節変動を個々に

見てゆきます。

すると当然ながら、12月とはいえ全部門(カテゴリー)が同じように同レベル

の季節指数になってはいないのが普通です。

12月が130%というのは、あくまでも全部門の平均値でしかありません。

例えば、A部門、B部門、C部門、D部門、E部門という5つの部門で営業して

いるなら、それらの季節指数は5つの部門の合計での月間の平均季節指数です。

その内訳としての部門別の季節指数には一般的にデコボコがあります。

130%以上の部門もあれば130%以下の部門も存在するというように。

問題は、個々の部門の落差が大きい場合です。

平均値から大きく外れた部門に注目します。

データを見る順序は、出入り口を決め、次は、その内訳に入り込むことです。

これが数字を扱う基本です。

全体合計もトータルな平均値も、1つの入り口でしかありません。

数字の深堀りの方法は同じ

より細分化された数字へ分け入った時、その後の方法はこれまでと同じです。

つまり、大きい季節指数のカテゴリーからチェックします。

例えば、店舗(又は営業所)で、売上構成比が最も高いA部門が140%という

季節指数なら、あなたはこの数字をどう解釈しますか?

平均値が130%であるのに、主力のA部門は平均値を大きく超えてる。

「A部門はよく頑張った」という見方だけではなく、そこに取りこぼしが

無かったかを確認する必要があるでしょう。

欠品、未納、誤発注などで、平月の手順では需要を追いかけきれなかった

点はないか。

もしかして、事前準備が万全だったなら、季節指数は150になっていた

のではないか。

反対に、平均値から大きく低下した部門はどう見るかという問題もあります。

季節性需要への対応が不十分だったのか。

それとも、その部門はそもそも季節指需要にあまり影響されない部門なのか。

こういった点から、検証します。

データを読むときの基本は主観です。

経験に基づく主観が、問題点や改善点を浮かび上がらせます。

基準値や標準値を探し、いち早くつかむ

おそらく、季節指数をカテゴリー単位で把握している企業は多くはない

でしょう。

例えば、Xという部門(カテゴリー)の季節指数が今期は115%だった

というのは適正な数値なのか?

こういった問題認識をもてば、毎月、カテゴリー単位での目標設定、事前

準備や営業の強化策、オペレーション変更など、優先業務は決まって

ゆきます。

そこで必要になってくるのが、標準値です。

全社の平均値でもいいし、個々の営業所の実績の平均でもよいです。

業界によっては、メーカーや業界全体のからの出荷額や数量などでも

基準値は作れます。

完璧な基準値ではなくても、とにかく、比較対象になる標準値のような

数字は持っている必要があります。

ここで示した基準値や標準値は、実は経験値です。

商品や業界ごとに、具体的な経験値をたくさん持つことで、数字を前にして

主観を述べることができるようになります。

主力商品の売上構成比の基準値、季節指数の月別の標準値なども

数字を読むときの大切な経験値であり、主観の根拠なのです。