小売業の部門別売上構成比

次の表は、1つのスーパーマーケット企業の店舗別の売上構成比の比較

事例です。

<店舗別:部門別の売上構成比の比較>

部門 A店 B店 C店
1 生鮮食品 34% 28% 30%
2 一般食品 15% 18% 17%
3 日配品 13% 10% 15%
4 菓子 12% 15% 10%
5 冷凍食品 10% 12% 10%
6 調味料 6% 7% 5%
7 飲料 5% 7% 6%
8 消耗雑貨 3% 1% 4%
9 ペット品 1% 1% 2%
10 家庭用品 1% 1% 1%
合計 100% 100% 100%

この表から、A,B,Cという店別の部門別の売上構成比が違っているのが

分かります。

その違いの原因は、各店舗の置かれた状況(立地、規模、競合など)も

その1つです。

しかし、ここでよく見るべきは、売上上位の主力部門の売上構成比の

バラツキです。

例えば、生鮮品ではA店で最高の34%、最低はC店の28%で、その差は

6%もあります。

果たして、このままの状態でよいのでしょうか。

これらの数字にどんな意味があるのでしょう。

ここで持つべき疑問は1つ。

一体、わが社の生鮮食品の売上構成比の基準値はどこなんだろう、

ということです。(主力商品全体にも言える)

他のビジネスの場合でも、主要な稼ぎ頭の支店や商品の評価に、

この基準値は有効です。

これまで、売上上位の主力部門だけで店売上の大半を占めるという経験則を

述べてきました。

ところが、そもそも、各主力部門の売上構成比の目標値には触れてきま

ませんでした。

わが社には構成比の標準はあるのか?

また、主力部門の前年割れからその部門の問題点を発見するという手法も

述べてきました。

ここでもう1つ検討すべきは、本来、主力の健康的な売上構成比は何%で

あるかということです。

主力部門の”標準的”な売上構成比を知る、というのが今回のテーマです。

この基準値がなければ、主力上位の業績を正確には評価できません。

例えば、売上が伸びている店舗で、主力の売上構成比が全社平均以下で

あれば、その店の成績はまだ伸びる可能性があるいということです。

基本的には、どの部門にも目安となる売上構成比の標準値が必要です。

この標準値は、必ずしも全社一律の数字である必要はありません。

県別・地域別に違っていたり、店舗規模クラスによっても変わってきます。

しかしながら、それぞれには経験に基づく基準値を当てはめる必要が

あります。

主力部門の売上動向(成長・衰退)を知るだけでは、数字に働きかける

ためには不十分です。

主力の売上構成比の良しあしを判断する基準を持ちましょう。

繁盛店は全社のお手本になる

標準値の最有力候補は”繁盛店”です。

自社でAランクの、高い売上構成比を示す店舗の実績こそ、標準値の

モデルになります。

何と言っても、その構成比は”実績”であり”実現された”ものだからです。

自分たちがかつて成し遂げた記録に残る実績数値です。

架空の願望や目標ではなく、実際に示したリアルな経験値です。

このベストプラクティス(最高の実績)は各店舗の参考値になるでしょう。

ただし、売場面積などの店舗条件ごとに制約があるので、店舗のパターン

ごとに目標値を変えてもよいでしょう。

いずれにしても、基準とすべき構成比の数字は自社の実績に基づいて

決定することが基本です。

売上構成比の実績は、全社の平均値と比べて判断することも参考になり

ますが、具体的な店舗の実績の方が、業務内容の違いを発見する時には

参考になるでしょう。

つまり、好業績店舗の実績を基準にすれば、そこで行われている業務も

もう1つの貴重な情報として社内に拡散してゆくということです。