成績数字を段階的に細かく見る
商品別のデータの細分化を繰り返すことは、数字の意味をつかむために
大事なスキルです。
大分類から中分類へ、さらに中分類から小分類へと、実績数字をより小さな
単位へと細分化することです。
例え、数字が苦手でも身につくやさしいビジネススキルです。
このスキルを1つ持つだけでも、仕事の処理能力は大きく変わります。
例えば、次の表は食品スーパーの部門(=大分類)別の販売実績例です。
(部門名はできるだけ簡略化してあります)
商品部門 | 今年売上 | 構成比 | 累計比 | 前年売上 | 前年比 | |
1 | 生鮮食品 | 408,000,000 | 34% | 34% | 429,473,000 | 95% |
2 | 一般食品 | 180,000,000 | 15% | 49% | 163,636,000 | 110% |
3 | 日配品 | 156,000,000 | 13% | 62% | 162,500,000 | 96% |
4 | 菓子 | 144,000,000 | 12% | 74% | 128,217,000 | 112% |
5 | 冷凍食品 | 120,000,000 | 10% | 84% | 109,090,000 | 110% |
6 | 調味料 | 72,000,000 | 6% | 90% | 76,595,000 | 94% |
7 | 飲料 | 60,000,000 | 5% | 95% | 63,000,000 | 95% |
8 | 消耗雑貨 | 36,000,000 | 3% | 98% | 37,894,000 | 95% |
9 | ペット品 | 12,000,000 | 1% | 99% | 12,000,000 | 100% |
10 | 家庭用品 | 12,000,000 | 1% | 100% | 11,500,000 | 104% |
合計 | 1,200,000,000 | 100% | 1,193,905,000 | 101% |
ここのどこが注目点でしょうか。
最初に見てほしいのは、主力部門の動向です。
売上上位5部門で全体売上の84%を占めていることは既に説明しました。
問題はその主力商品の前年比です。
第1位の生鮮食品が95%、第3位の日配品が96%と前年割れです。
主力から強力な対策を打つ、という原則からすれば、この2部門は翌年
又は、翌月の重要な対策ターゲットです。
より具体的な問題に落とし込む
そこで、ここで生鮮全体の実績を、さらに中分類別に細分化します。
その結果が、下記の表です。
部門名 | 今年売上 | 構成比 | 累計比 | 前年売上 | 前年比 |
青果 | 166,064,000 | 36% | 150,968,160 | 110% | |
精肉 | 113,528,000 | 25% | 120,774,528 | 94% | |
鮮魚 | 128,107,000 | 28% | 116,461,152 | 110% | |
惣菜 | 48,309,000 | 11% | 43,133,760 | 112% | |
合計 | 456,008,000 | 100% | 431,337,600 | 106% |
こうして見てわかることは、精肉というカテゴリーだけが前年割れを
見せていることです。
他の中分類(カテゴリー)では前年比2けたアップにもかかわらず。
そこで、精肉カテゴリーでは何があったのでしょうか。
そのために、さらにもう1段階の細分化を繰り返します。
その結果が次の表です。
中分類 | 今年売上 | 構成比 | 累計比 | 前年売上 | 前年比 |
牛肉 | 91,202,000 | 20% | 99,132,609 | 92% | |
豚肉 | 159,603,000 | 35% | 145,093,636 | 110% | |
鶏肉 | 114,002,000 | 25% | 103,638,182 | 110% | |
加工品 | 91,202,000 | 20% | 86,859,048 | 105% | |
合計 | 456,009,000 | 100% | 434,723,474 | 105% |
もうお分かりですね。
前年(又は前月)は牛肉が不振で前年比(又は前月比)92%になっています。
ここまでを整理します。
食品スーパーの全体売上を左右している上位の主力部門で2つの主力が前年
割れを起こしていて、そのうち第1位の生鮮食品の動向を詳しく見ると
精肉が不振だったということ。
そこで、さらに深堀りすると、その中で牛肉だけが前年割れを示していた。
<生鮮不発> → <精肉不発> → <牛肉不発>、ということです。
これが部門別分析の基本手順です。
問題の数字は原因も指し示す
段階的にデータを追いかければ、ある程度の原因にたどり着きます。
ここから先は別の回に譲りますが、大切なことは分類別データを細分化する
習慣です。
これはどんな業界でも必須のスキルです。
商品知識や現場知識が乏しくても、現れた数字を細分化することで
問題や可能性を推定することはそれほど難しいことではありません。