カテゴリー化能力は、どこでも通用する黄金のスキル

「おすすめシステム」は機能しているか

アマゾンのトップページには、

「おすすめ」本が表示されま

す。

おすすめ本とは、「本のおすす

め商品」、「チェックした関連

商品」、「あなたのお買い物傾

向」を指します。

皆さんはこの「おすすめ本システム」に触発されて、思わず衝動買いをし

たことがありますか。

私はほとんどありません。

おすすめリストには、欲しくなるような本の候補がほとんど出現しない

からです。

余り、私の嗜好性が反映されているとは思えません。

役に立っている場合もあるかもしれません。

しかしながら、私にとっては「おすすめ本」はほとんど参考になりま

せん。

そもそも全冊読んでいないのに

その原因の1つは、AIシステムにあ

るのではないでしょうか。

過去の販売データをAIで処理して、

AIでおすすめを提案しているためで

はないかと思います。

多分、AIが全冊を完読しているわけではないでしょう。

本のタイトル、サブタイトル、著者名などで書籍の分類が設定され、同時

に、購入者の履歴データを参照する。

検索語が入力されると、過去の履歴データをもとに、設定された分類か

ら、「おすすめ」を抽出するというシステムではないかということです。

一定のレベルで機能しているのでしょうが、余り参考にはなりません。

「関連商品」や「お買い物傾向」などでは、こちらのニーズから飛躍した

本が提示されることは珍しくありません。

カテゴリー名が古くて、カテゴリー数が少ない

けれども、最大の問題はAIにあるのではありません。

商品のカテゴリー化が未成熟であるという点です。

適切な分類名や、内容が想定できるカテゴリー名が設定されていないの

です。

カテゴリー別のランキングを見ても、そのカテゴリー数は少なく、それほ

ど細分化されているようには見えません。ほとんどが既存の本屋さんのよ

うな古いカテゴリー名がそのまま使われています。

本屋さんが収容できる本の数はたかが知れています。

これに対して、あらゆる新刊本、中古本を集めた巨大なアマゾンのネット

在庫に対しては、カテゴリー数が少なすぎるのです。

ロングテール(=膨大なアイテム数)を誇るなら、全く新しいカテゴリー作

りが求められます。(アマゾンのシステム内にはより精緻で、細分化され

たカテゴリーがあるのかも知れませんが)

書籍店とは比較にならないほどの膨大なアイテム数を扱いながら、分類区

分がラフで、古いネーミングが使われている。

ここに最大の問題があります。

買う側にとって意味のあるカテゴリーの新設と細分化が必要なのです。

分かりやすく、検索有効なカテゴリーの不在。

この点は、本以外のすべての商品についても同じことが言えます。

分類能力は新しいスキル

ここでは、カテゴリー化というスキルに対する現状を述べています。

アマゾンの「おすすめ」システムを問題視しているわけではありません。

同じ問題が多くの事業会社で見られます。

製造業であれ、サービス業であれ、多くの企業はいまだカテゴリー化の

重要性に気づかないようです。

カテゴリー化とは単なる商品の“仕分け”ではありません。

マーケットニーズを具体的で、見える化するためのスキルです。

どの事業分野でも適用できる汎用性のある柔軟な技術であることが忘れら

れています。

市場、あるいは、需要という観点からみると、商品やサービスはカテゴリ

ーで分類・集約して、お客に提示すべきです。

市場とか需要という言葉は抽象的だからです。

ダイエット市場とかサイクリング需要という具体性がある名前を付ける

ことが、カテゴリー化の基本発想です。

昔のカテゴリーのままでは、現代のマーケットチャンスを掬い取ることは

難しいでしょう。