行かないで、ミセス・ジョブホッパー

即戦力か・・・大型新人の入社

①学歴/超難関国立大、
および、同大学院卒

②専攻/経済学

③職歴/外資系大手戦略
コンサルファーム
外資系大手銀行
大手日系商事会社

ピカピカの経歴を持つ30歳の女性。

英語も堪能です。

夫と子供二人の4人家庭ですが、これまで果敢に仕事に取り組んできた

バリバリの現役ビジネスパーソンです。

時間に厳格で、会議でも積極的に発言していました。

「即戦力として仕事ができそうだ」

採用担当は大いに期待します。

久々の大型有望人材の登場です。

突然の退職願い

ところが、入社4か月後、突如として退職願いが上司に提出されました。

理由を聞けば、ある会社から転職エージェントを通じて、是非にもという

オファーがあったとのこと。

彼女、実は今の会社に入る前に、もう1つの企業にも応募していたのです。

業種は違いますが、どちらの会社も注目のグローバルカンパニーで、ほぼ

同列です。

IT企業に魅力?

でも彼女の第1本命はハイテク企業だったのです。

その会社は、現在急成長のアメリカに本社を構える有名なテクノロジー

企業です。ベンチャー時代から多くの人があこがれてきた会社です。

急速成長して、今後も成長が期待される、世界的な著名企業です。

彼女は前回、このハイテク企業の最終選考で落ち、第二希望だった現在の

会社に入社したという背景があります。

現職に不満はないが、ハイテク系には依然憧れていたということです。

事の起こりは、そのハイテク企業に欠員が生じたことからです。

欠員の補充要員として、以前応募した彼女に白羽の矢が立ったのです。

本人も、まさかと驚いていたところ、その後の入社勧誘活動がものすごく

積極的で活発だったようです。

エージェントから三顧の礼でお願いされたり、祝福されたり。

採用内容を詳しく説明され、その他諸々の話もあり、転職意欲の火が再燃

したようです。

入社4か月での退職は異例ですが、彼女の気持ちが固いので会社は要望を

満たすことにしました。

帰ってきたキャリアウーマン

2年後、なんと、その彼女がやめた会社に面接で戻ってきたのです。

最新の職歴には、1行追加されていました。

転職していった超有名ハイテク企業の名前です。

勤務期間は1年半ほど。

今の企業での応募職は2年前とほとんど同じ職位。

あれ、どうしたんだろう?

採用時の面接官の一人に、以前勤務した企業の上司がいたとか。

ジョブホッパーって何だろう

この話の結末は、どちらでもよいと思います。

仕事に対する価値観は多様にあるからです。

転職を繰り返すことの是非も一概には論じられません。

会社を辞める理由は人それぞれだからです。

問題は、結果的に、あるいは計画的であるにせよジョブホッパーとみな

される転職希望者に対して、企業は警戒心を持つ傾向にあるということ

です。

この事例は、彼女の在籍によって、その企業に暗黙のルールが加わったと

いうこと。

それは、1社当たりの平均勤務年数が“2年未満”は要注意、という新たな見

えざる基準です。

2年以上の経験がなければ、大したスキルは期待できないだろう。

一般論とはいえ、これが1つの現実です。

決して、ジョブホッピングを非難するわけではありません。

転職サイクルが短いことと、キャリアの蓄積度には相関関係がありそう

だという認識が広がっているということです。