スキルとは経験を応用する力

今までの職務から何を獲得したのか

採用面接で探りたいことの一つに、経験とその応用力があります。

今までの職業経験の中で、どれ

だけ自分なりの実務ノウハウを

培ってきたのか。

ノウハウとは、応募者のキャリ

ア形成過程で収穫した成果で

す。これはスキルの“貯金”とい

ってよいでしょう。

課題に直面した時、その解決手段を“選択する能力”でもあります。

面接官が大きな関心を持っている1つのポイントは、この“貯金”

の量です。

それまでのビジネス経験の中で、どれだけの“引き出し”を作って

きたか。転職では、“引き出し”が多い人ほど望ましいことは言うま

でもありません。

解決の方法論を準備できるか

”貯金”量とは、業務達成のための解決”手段”を入れた引き出しの

多さを指します。

「私にはこれだけの経験と成果があります」

これは面接官が知りたい重要な点です。

例え、他者と少ししか違わない自分のノウハウでも、十分に商品

価値があります。

前職で蓄積された個人的な“貯金”こそ、転職後はその会社の

“貯金”になり得ます。

会社とは、小さなノウハウを集めた超巨大なカタマリで成り

立っているからです。

2つのタイプ

“貯金”を基準にすると、職業人は2つのタイプに分けられます。

第1は“繰り返し”タイプ、第2は“積み重ね”タイプ。

前者は、何度かの成功体験で仕事のやり方が繰り返しになるタイプです。

職歴は長くても、仕事がワンパターン化して、業務では同じことを

繰り返しています。

例えば、定例の販売企画が提示されたとき、自分の過去の案の

どれかでゆくというタイプ。

去年と同じ仕事だから、同じやり方で済ませるという発想です。

自分の仕事のやり方から脱皮できないのです。

その結果、同じことの“繰り返し”でキャリアが形成されて

ゆきます。

成長意欲がスキルを高める

第2の“積み重ね”型は、経験を積み重ねる中でスキルも蓄積して

ゆくタイプです。

前年の問題点を探し、今年の新機軸を組み込んで、新しいチャレン

ジをするビジネスパーソンです。

毎回、最高の結果が出るように、少しずつ工夫を積み重ねて

ゆきます。

経験から多くを学び、自分の引き出しを増やしてゆきます。

この違いが、2年から3年、5年から10年という間に大きな蓄積の

差となります。

両者の間には大きな“貯金”の落差が生じます。

前者は同じグランドをグルグル周回しているだけ。

もう一方は、立体駐車場を車でらせん状に上がってゆくような

イメージです。

組織は、横這い人材とスキルアップ人材の混成集団です。

当然、評価・昇進にも落差が生じます。

到達地点の標高差が大きくなるからです。

普通の上司ならこの点をちゃんと見ています。

キャリアの中身が問われている

一般的に、採用責任者は“経験年数”と“貯金の額”を比例関係に

あると期待します。

つまり、キャリが長いほど多くの引き出しを持っている可能性がある、と。

ところが、現実は比例関係にある方はそんなに多くありません。

キャリアの割に“貯金”が乏しかったり、前職で“貯金”を使い果た

してしまったり、肩書を“貯金”と錯覚する方も珍しくありません。

「仕事の成果は貯金にある」

こうした考え方を教えてもらえなかったのかもしれません。

“繰り返し”人材と“積み重ね”人材。

選択するのは自分だからです。