世襲の2代目社長はほぼ成功しない

全てが創業者の功績になる

凡庸な2世経営者の弱点は、自分

の能力を過信していることです。

中途入社でオヤジの会社に入り、

あっという間の出世で,いつの間に

かたくさんの部下を持つ。

これは昇進ではなく特別待遇で

す。

中小企業であれば、会社が成長す

れば、経営者一族はその最大の貢献者として遇され、最初にその恩恵を受

けます。

実際は、世の中の好景気で成長したとしても、結果は創業者一族の業績な

のです。常に、会社発展の功労者は一族の誰かなのです。

創業者の息子に何の手柄がなくても、一族の2代目というだけで会社の功労

者なのです。

社員が必死に頑張って会社の成績を上げてきても同じです。

この繰り返しで、2代目は自分の実力を錯覚します。

やはり自分は特別な存在である、と。

前近代的な社員構成

カタチだけの組織や組織図があっても、昔ながらの番頭さんと奉公人で構

成されている点、会社の中身はほとんど進歩していません。

それが前近代的経営の典型です。

2代目社長の座を親から受けついで、成功したケースはまれにあります。

でも、それは例外です。

通常の“世襲の2代目”は大方の予測通り、時代のどこかで行き詰まります。

するとその後は、鳴かず飛ばずの仲間入りです。

その根本は、企業規模に見合った組織が作れないまま事業を継続するから

です。

いつまでたっても、オヤジ(創業者)時代の古い人材のままです。

2代目は新社長ではなく、依然として2代目オヤジなのです。

若手が抜擢されない

同じメンツで課長が部長になり、部長が役員になる。

年功序列は、創業者一族が一番安心できるシステムです。

一族は、自分達より優秀な人材を認めようとはしません。

中途採用はしても、自分達のやり方に従わなければ徐々に冷遇します。

従って、優秀な社員が抜擢されることはなく、埋もれたり、会社を去って

ゆきます。

外から見ると、この人がなぜ部長なのかわからない。

こんな人事も珍しくありません。

事業規模が2世のスケールを遥かに超えてしまった

創業者の頑張りで会社は短期間に成長してきました。

しかしある時、成長の節目がやってきます。

世襲の、お坊ちゃん社長の能力をはるかに超えた企業規模の段階に突入

します。

企業規模の方が、経営者の能力を超える時代に差し掛かる時です。

ここで、有望人材を確保して、透明性のある組織改革ができれば、その後

の展望は良い方向に変わります。

しかし、その問題が見えないのが世襲の2代目の共通点です。

企業スケールの拡大に気づかないまま、2代目は従来型の経営を続けて

ゆきます。

そして、古くからの社員がぼつぼつと辞めてゆきます。

会社を支えてきた、多くの名もない功労者の存在にも気づきません。

「現場を知らない」経営者という弱点

飲みに行くときは、毎回、2代目の取り巻きだけと決まっている。

都市銀行の地支店長から食事に誘われて大喜び。

地元商工会の役員に推薦されて、それを自慢話のネタにする、等など。

過分に扱われることで自己満足するようです。

時代に遅れて、混乱したたままの前近代的な組織は、ずばり、経営者の頭の中を物語っています。

2代目の頭の中の時計の針は、オヤジの時代のまま止まっています。

ひとかどの経営者は、大なり小なりの困難を経験しています。

困難とは、自分が変わらなくてはいけないサインなのです。

困難の只中にいて、それに気づかず放置すれば、やがて衰退してゆきま

す。

「企業3代まで」とは適切な原則のようです。