なぜグレーゾーン企業の生産性は高いのか

灰色企業とは

日本で最も生産性が高い企業は、恐らくブラック企業でしょう。

①長時間労働、②過重労働、③低賃金という3点セットがその特徴です。

最近は労基署(労働基準監督署)にもマークされています。

この反対が、労働規則をしっかり守るホワイト企業です。

ホワイトでは決してないが、ブラックとは言い切れない。

限りなくブラックに近い職場環境にある企業。

これらを、ここではグレーゾーン企業と呼びます。

労基署にまだ目をつけられていない会社です。

世の中には、こういう企業は結構たくさんあります。

欠員を補充しない

グレ-ゾーン企業の生産性は高いはずです。

何しろ、低賃金・長時間・過重労働という点がブラックに近いからです。

ブラックやグレーゾーン企業の生産性が高いのは、基本的に人員が足りて

いないからです。

事前教育や現場研修も最低限か、ほとんどなしです。

普段から従業員の定着率が低く、シフト(作業計画)がそれについていけ

ないのです。

従業員は“消耗品”という発想の経営なのでしょう。

1人退社しても、半年たっても補充できないことは珍しくありません。

結果としての生産性アップ

その結果どうなるか。

生産性は上がります。

生産額=売上高(又は荒利益額)が一定なら、従業員が減れば1人当たり

の生産性はアップします。

パートでも正社員でも、勤勉な日本人は欠員が出ると何とか皆で頑張っ

て、その穴を埋めようとします。その結果、人員が減った状態で、不思議

と生産性が上昇する。

数式上では、不思議でも何でもありません。

人員不足を知っていて、見て見ぬふりをする経営者は珍しくおありま

せん。

どうしても補充要員が必要な時、まだ戦力になっていない未経験者が投入

されることもあります。

これは悪循環です。

生産性の裏にある疲弊した現場

生産性という尺度は、単なる数字です。

数字が高ければ高いほど良いというわけではありません。

もう一方で現場のありさまを把握することが必要です。

その時必要なのは、あるべき現場の運営状態をもとにして、必要な現場

投入人員数を把握することです。

この時の人員配置が、自社の生産性の基準値になると考えてよいでしょ

う。

生産性という数字だけを見て、現状の人員配置を判断するのは初歩的な

間違いです。

ローコストで走り続ける

残念ながら、グレーゾーン企業には“生産性”と“コスト”以外の数字は活用

されていないのが実態です。

生産性ばかりに気をとられると、客数減という難題にぶつかります。

客数減とは、すなわち、売上減少のことです。

1店舗当たりの売上げ小さくても、各店のコストを最小化しているから

生産性が上がるはずだ。

この発想から早く抜け出すことです。

コストの最小化が、やがては売上の最小化につながります。

こういう図式で事業拡大をしていけば、やがてはその矛盾が表面化する

のです。

人員が減って生産性が上がるのは一時期だけです。

やがては、売上減少に及びます。

多くの企業がこのパターンで行き詰まっています。

“生産性”や“スキルアップ”以前の問題です。